制服触手23【黒澤pict】

制服触手23は、黒澤ユリさんによるシリーズの最新作で、学園ものとしての新たなアプローチが光る作品です。主人公の由希と小枝子という対照的なキャラクターが織り成すストーリーは、物語の深みを感じさせてくれます。由希は恵まれた環境にありながらも心の奥に何かを抱えている様子が描かれ、小枝子はその身体的な弱さをスケッチにぶつけることで自己表現を試みる姿が印象的です。二人の出会いから生まれる静かな時間は、ほんのりとした温かみを感じさせ、読者としても心が和む瞬間が多くあります。 触手要素は少なめですが、それが逆にキャラクターたちの内面に焦点を当てる結果となり、深い感情の交流が描かれています。特に小枝子のスケッチを通じて彼女の心情が明らかになる場面は、非常に印象的でした。作品の全体を通して、キャラクターの成長や変化を見守る楽しさがあり、ただのエンターテイメントに留まらない深いメッセージ性を感じることができます。 また、85ページというボリューム感も嬉しいポイントで、じっくりとキャラクターたちの関係性を楽しむことができます。シリーズのファンはもちろん、新たにこの作品に触れる方にとっても、心に残る体験が待っていることでしょう。特にシリーズ20との共通設定を知っていると、より一層楽しめると思います。全体的に、心温まるストーリーと魅力的なキャラクターたちの描写が光る一作でした。